ボク羽 土田一徳 BLコミック


おそらく百八十センチは超えているだろう財前だったが、加えて彼はとても体格もよく、近くに立たれると恐ろしいほどの威圧感があった。

高貴な芳香を漂わせる菖蒲の葉のように、香しくも乾いた鋭さに整ったその顔。苛立ちとも違う。不意に訪れたなんだかあやしいムードに、坂下の鼓動は早鐘のように脈打ち始める。「本当か?」。僕は慌てて首を横に振った。体から力が抜けた。

「ルシエルの方が強引で我が儘だ。……そういや、初めて会ったときからそうだった」。「いけない……こと」。彼を腕に抱き、その身体の奥深くに欲望を受け入れさせていても、唇にだけは触れさせてはいけないものなのだ、と篝は固く信じるように思っていた。「……カーテン、閉めろ」。左手で剣の鞘を押さえ、まずは帯剣帯《たいけんおび》をはずす。そういえば、実がいないせいで、テレビのスイッチをどちらも入れないからだ。些細《ささい》なトラブルの回避さえできなかった上司に、三年以上も費やして完成を間近に控えたプロジェクトを――実質的に携わっていたわけではなく、サポートしていただけではあったが――潰された口惜《くや》しさ。

「わーっ!待てっ!ちょっと待てっ!沈むなっ!」。

なぜホテルになど泊まらないといけないのだ。それから押入を開け、きれいに畳んで重ねられている布団を出した。

正面の階段から上がれるようになっていて、玄関ホールを挟んだ右左の二階部分を繋いでいた。当然、そこには愛などなく、あるのはただの性欲だけだった。「そう、それです。私以外の誰も見なければ、同性愛に悩むことはありません」。バトルはどうやら、本能が勝利したらしい。


ボーイズラブ小説作品紹介


両性の淫魔・海依のもとに、人界で迷子になっている天使の子供を捜すという仕事が転がりこんできた。なんとその子供――大七――は天界王の跡継で、海依は発見したばかりの彼にプロポーズされてしまう。将来は絶対に男になると決めている海依には、嫁にいくつもりなどまったくない。だけど、夜の間だけは超美形なオトナの姿になる大七を見て、その自分好みのルックスに海依の心は揺れて!?

タイトル:リトルダーリン
著 者 名:高月まつり
レーベル:魂管理局シリーズ
発 行 元:オークラ出版

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